オルグできっかけをくれたayU tokiO。そしてミツメ、吉田ヨウヘイgroupのPAへ
――では次に、PAの話を聞きたいと思います。馬場ちゃんはPAも録音も両方やってますが、そもそもPAと録音ってエンジニアの人はどちらもできるものなのでしょうか?
馬場:録音とPAは基本違う。でも最近は録音から入ったPAさんも多くて…葛西さんとかKCさんとか、あとceroをやっている得能(直也)さんとか、みんな録音からのはず。
――なるほど。では葛西さんや岩谷さんといった先輩エンジニアの助手などをやってたから、馬場ちゃんもPAをやるようになったかんじでしょうか?
馬場:もともと専門学校に入るときに、はじめはPA志望で入ってて。だけど結局録音コースに行っちゃったんだけど、普通にPAもやりたかったから。
――じゃあ基礎的なものはそこで習ってはいるんですね。今は実際それを仕事としてもやってると思うけど、そこに至るまではどういう経緯があったんですか?
馬場:それなりの作法的なものはGOK SOUNDで働きながら学んだ。でも自分でライブハウスとかでメインのPAをやるってことはずっとやってなかった。ライブハウスだったらライブハウスのハコの人がいるから、別に自分があえてやろうとも思わなかったから。そのときに声かけてくれたのがアユ君だった。
――ayU tokiO のイノツメアユさん(通称、アユ君)ですね。きっかけはオルグでPAをしてたから?
馬場:そうそう。オルグは生音重視の場所だからそこまでPAやるっていうわけじゃない。でもそこでPAしてたら、音響すごいよかったねって、アユ君が一緒にやろうと言ってくれて。アユ君の編成って、バイオリンとかいて複雑だから全然自信なかった。それも全部話した上で一緒にやろうって言ってくれて。
――アユ君がきっかけをくれたと。
馬場:うん、そこからミツメ。ミツメはオルグで何回かやってて、ミツメのはじめての自主企画もオルグなんだけど、それまではそんなに仲良いつもりではなかった。でも、ある日電話がかかってきて、「今日、THE NOVEMBERSとツーマンなんだけど、一緒に持ち込みのドラム運んでくれない? 」って言われて。「すごい図々しい!今日!? 」って思ったけど、私こんな事頼まれるくらいに仲良かったんだって嬉しくなっちゃって(笑)。ドラム運ぶの手伝ってあげて、そこからめちゃくちゃ仲良くなった。ちなみにその日は、アユ君のPAをするために、事前にアユ君のライブを見学する日でもあって、ミツメのドラムを運んだあと、ミツメは見ないでayU tokiOを見に行った。
――ちょうどayU tokiOのPAをやり始めようとしていた時期に、ミツメとも仲良くなって、そこからどういう経緯でミツメのPAに繋がったんですか?
馬場:ちゃんとした外で本格的にミツメのPAをやったのはフジロックのルーキー。
――いきなりの大舞台(笑)。いつの間にか気軽に依頼ができる関係になったんですね。フジロックもミツメから依頼があったのですか?
馬場:けっこう唐突に頼まれた気がする。PAの人にいろいろ注文したいんだけど、知らない人だと気軽に言えない。でも、私にはなんでも言えるからやってと。
――それは嬉しくなりますね。それを機にミツメのPAも続けることになったのでしょうか?
馬場:うん。フジロックあとからささやきツアー終わるまでほとんどやってた。
――ではミツメとは主に2013年のフジロックから2014年頭のささやきツアーの間、かなり密接に過ごしていたんですね。
馬場:私が普通にミツメが好きで見に行きたいから、予定は基本的にいつも空けてて(笑)。ミツメが誘わなくても私が勝手に来るから、PA誘いやすかったんじゃないかな。あまりに一緒に居過ぎてミツメの音源に関しては全く手伝っていないのに、音楽ニュースなんかで「ミツメの録音を手がけてる馬場友美…」っていう風に紹介されたりして、よく間違われる。
――そして、2014年になって吉田ヨウヘイgroupのPAもやってるよね?
馬場:吉田ヨウヘイgroupはがっつり。ミツメのPAしてるとき、対バンで出会った。その時は2013年だけど、そのあとちょっと時が経って、手伝ってくれませんか?って言われてやるようになった。あと、大きなPA経験だったのは、去年の4月に青山月見ル君想フでやった、吉田ヨウヘイgroup、ayU tokiO、失敗しない生き方、peno、森は生きている、ROTH BART BARON が出演した『20140420』…あれはかなりPAの勉強になった…大編成バンド祭り。
――人数が多いバンドばかり(笑)。こうして見ると、馬場ちゃんは大編成のバンドが得意なジャンルなのでしょうか?ayU tokiOしかり、吉田ヨウヘイgroupしかり。
馬場:たまたまはじめにそういう(大編成の)バンドに誘われたっていうのがあるけど。でも専門学校の時に一番ライブを見に行ってたのが渋さ知らずオーケストラで…渋さのPAさん見ててかっこいいなってずっと見てたから、だから大編成は好き。
――専属のPAを持たないミュージシャンもいっぱいいると思いますが、専属のPAがいるメリットって大きいんでしょうか。
馬場:普通は、そのハコのPAさんがPAやったら、PA代かからないんだけどね。ハコの特性理解してるからその分有利だし。だけどそれでも、例えばayUtokiOはすごい大変な編成だったり、自分のニュアンスがあるから、ちゃんと意思疎通のできる人とやりたい、とか。吉田ヨウヘイgroupも管楽器の扱いを誤解されがちとか。ミツメだったら、その場でコミュニケーションがうまくとれないとか。あと、ハコの人は一回きりだけど、ずっと一緒にやっていく人だったら今回はこうだったから次はこうしようって続けられるから。
――あと出てきてないのは…Alfred Beach Sandal(アルフレッド・ビーチ・サンダル)もPAやってるよね?
馬場:ビーサンもめっちゃやってる!ビーサンはもともと普通に友達で、ミツメのささやきツアーのとき、大阪と岡山で対バンが決まって。ビーサンに、馬場ちゃんいるんだったらやってよって頼まれた。それが終わってからもビーサンがバンド編成の時は頼まれるようになった。去年バンド編成でやるときはだいたい呼ばれてる。今年もやる。