本当にインディペンデントなフェスティバル『EASY』:シャムキャッツインタビュー


サイト開設の第一弾は、来月10月11日に自主企画『EASY』を主催するシャムキャッツのVo.夏目知幸のインタビューである。シャムキャッツを初めて見たのは約7年前。以来ずっとその活動をファンとして友人として見続けているからこそ、最初に取り上げたいアーティストだった。しかしそんな理由以上に、シャムキャッツのこの一夏の経験については、去年にも一昨年にもなかったシャムキャッツと彼らが活躍するインディーズシーンの新しい追い風を感じることができる話を聞く事ができたし、来月開催される自主企画『EASY』については、彼らがアーティストであると同時に良きリスナーであるという気質さが至る所に炸裂しているイベントであることがわかり、第一弾に取り上げさせてもらうことができて本当に良かったと思える記事になった。どうか、それこそEASYな気分で、このインタビューをご覧いただきたい。

取材・文 / 藤森未起 写真 / 山口広太郎

profile

4人組のロックバンド、シャムキャッツ 2009年・春、1stアルバム『はしけ』をリリース。 その後、自主制作で次々と発表したCD-R作品「DEMO SINGLE SERIES」(全3作)、シングル「渚」と「サマー・ハイ」は全てSOLD OUT。2011年・秋、ミニ・アルバム『GUM』をリリース。 2012年・冬、P-VINE RECORDSより2ndアルバム『たからじま』をリリース。収録曲“SUNNY”がテレビ東京系「モヤモヤさまぁ~ず2」のエンディング曲に起用される。 2013年、夏から秋にかけてTurntable Filmsとのスプリット・12インチ・アナログ・シングルの先行即売全国ツアーを開催。 2014年の年明け、店舗限定シングル「MODELS」をリリース、一週間で完売。VJを加えたバンド初のワンマン・ツアー「GO」を東名阪で開催。 3月、最新アルバム『AFTER HOURS』をリリースし、渋谷CLUB QUATTRO公演を含む全国ツアーを開催。大成功。また、アルバムの好評を得て「MODELS/LAY DOWN」が7インチ・アナログとしてシングルカット。

「渚」も「なんだかやれそう」もやんなくていいよねってなって。やりたいことだけやろうっつって。(夏目)

今年の夏は、割とイベント出てましたね。

夏目:JAPANとかで推されているアーティストからしたら、少ないくらいだけどね。去年よりは出たかな。

思い出に残っているイベントとかはありますか。

夏目:全部違ったから、それぞれ良いトピックにはなっているかな自分たちの中では。つくばロックフェスはああいうフェスでトリで出れたし、ROCK IN JAPANは全然違うところに飛び込む感じでやったし。Booked!っていうのは海辺でやって、東京のインディーズバンドがいっぱい出るっていう、ひとつの理想的な形ではあった。

夏目君めちゃくちゃ良いtweetしてたの私覚えてますよ。

夏目:ふふ(笑)やめちゃったけどね。ああいうのが一番いいじゃないかなって感じはしました。

それはどういうところが?例えば雰囲気とか?

夏目:会場の雰囲気が良いって言うのもあるけど、出てるアーティストがみんなこう、なんて表現したらいいかな、基本的に土台にしているものが一緒の人たちだった。たとえばインディーズって言っても、2010年とかはオワリカラとかSuiseiNoboAzとかSEBASTIAN Xとかそういう人たちと一緒に出て、一緒の感じの捉えられ方をして、コンピにも入ったけど、自分たちとしてはそんなに居心地としては良くなかった。同じ世界観でやってるなんて思ったことなかったけど、この間のBooked!みたいなイベントは下地にあるものは似てるのかなって感じられたから良かった。それは去年とか一昨年とかはなかったかなってかんじ。さすがにお客さんはそんなに多くなかったけど、それはゆっくり広まっていけば良いのかな。
about

今年は下北沢インディーファンクラブがなかったけど、それともまた違う感じ?

夏目:うん、違うね。全然違う。風通しの良さっていろんな風通しの良さがあるけど、イメージ的には、畳とか4畳半とかっていう雰囲気ではなくって、もうちょっとフローリングのマンションとか似合うような人たちが集まったかなっていう感じ。

郊外な感じだね

夏目:そうだね。それこそ簡素でシンプルで。森は生きているとかもいたけど、彼らが自分たちでどう捉えているかわからないけど、暑苦しくはないし、自分たちのパッションをそのまま出す人たちではないじゃん。音とバンドやってることの距離感がある感じ。

そういうのを感じられたのがBooked!だったと。

夏目:ROCK IN JAPANとか、あとさっき言ったようなイベントにぱあっと出たでしょ。全然タイプが違ったわけ。トリでやったりとか、逆に僕らのことを知ってる人がマイノリティーになるイベントに出たりとか、好きにやればいいなっていうホームっぽい企画もあったし、Tokyo campってのもあったか、日比谷野音で。そういうのを経てだんだん、やっぱりコビ売らなくてもいいなって気持ちがバンドの中にも出てきてて。今となってはJAPANももっともっと渋いセットリストでもよかったかなって。

攻めていくような感じでしょうか?

夏目:攻めっていうよりは、やっぱりROCK IN JAPANだと、なるべく知ってる曲をやったほうがいいだろうなっていうのはあった。例えば自分が矢沢永吉とか見たら、そんなに知ってる曲ないじゃん。だからなるべく知ってる曲やってほしいっていう。あとまあ俺は全然知らないけど、ロキノン系の若手のバンドを見に行くキッズたちからしたら、一応YouTubeにあがってるのを聴きたいじゃん。と思ってた。けどちょっと俺らそういうタイプじゃないかなやっぱり!て感じになって。このあいだ川崎でやったBAYCAMPは、もう「渚」も「なんだかやれそう」もやんなくていいよねってなって。やりたいことだけやろうって。もう一曲目「TSUBAME NOTE」でゆっくり入っていって、2曲目も「FENCE」でやったの。そしたらウケも良かったし、自分たちの演奏も、最近では一番良かったんだよね。だからやっぱりそういうスタイルでいいんだなって、確信までいけた夏だった。バンドのスタイルとしては自信をつけた夏だったって気がしてる。

ちなみに、ROCK IN JAPANみたいな大きなフェスに出て、変化ってありましたか。

夏目:俺個人としてはないかな、バンドがどういう風に見られているとかあんまり。現場で感じることはあるけど。まあいつも通りだよね。俺の感覚ではね。ただ、オファーの種類が広がってるっていうのはある。今まであんまりやってきてないタイプのバンドとかからね。