本当にインディペンデントなフェスティバル『EASY』:シャムキャッツインタビュー



「楽しいよね、仲間が集まって、同じ趣味の人たちが集まって楽しいよね」っていうイベントは、もうそっこらじゅうで行われているから。(夏目)

次に、『EASY』の企画についてお窺いします。所属レーベルのP-VINEから話があったということですが、どういう経緯でシャムキャッツに話が来たのですか?

夏目:簡単に言うと、俺らのディレクターの柴崎さんが今受け持っているアーティストが、オウガとウミネコと昆虫と森は生きているとyankanoiと俺らと、あと柴崎さんじゃさんじゃないけど、mooolsがP-VINEから出すでしょ。あと、トクマルさんもいるでしょ。とにかくたくさんめちゃくちゃいるでしょ。P-VINEの人を集めてフェスみたいなのやろうって話がちょっとあって、ハコまでおさえるところまでいったんだけど、急に決まったことだから、いろんなバンドの都合がつかなくて。だめだねってことになったときに、俺らに話がきた。

夏目君が最初に出した所信表明で、”DVDで見たATPみたいな雰囲気が良かった”とありますが、見てみてどういうところがいいと思ったんですか。

夏目:うーんと4〜5年前くらいかな。3〜4年前かな?ATP(All Tomorrow’s
Parties)っていうのを知って、DVDが出て。どういうフェスかって言うと、キュレーターがいて、キュレーターのバンドが中心になって演者を集めて、でちょっと変わった場所でやるっていうフェスだよね。たとえば、コテージみたいなところに参加者全員泊まらせていろんなところでライブやるとか。ライヴ・イン・ハトヤの原型もほぼATPみたいな感じだよね。そういうキュレーションしてるっていうところとか、USのインディーズバンドたちを目当てにして若者たちが集まってかなりざっくりした感じで楽しんでいるっていうのがいいなって思って。あとキュレーションが入るってことは、大きい企業のプロモーションのためにバンドが集まるんじゃなくて、バンド同士の価値の、付加価値のつけ合いじゃないけど、そのバンドに誘われたら出る意味がある、っていうか。そういうのがインディペンデントな感じのフェスっていうものでは形としては理想だなっていうのは思ってて、いいなって。

4〜5年前に見たと言いましたが、けっこう前じゃないですか。けど、P-VINEから自分たちに話が来てどうやったらいいかなって考えたとき、ぱっとそれが思いついたんですか?

夏目:やるとしたらね、そういうかたちしかないねってのは思った。なんかこう馴れ合いみたいなのにはしたくなくて、こう仲間だけ集めてみたいなのは一番よくないなと思ってたから。ほんとは呼びたかったアーティストもあえてけっこう呼ばなかった。ゲラーズとかね。

さっきバンド同士の価値のつけ合いとか、そのバンドに誘われたら出るといった話がありましたが、それと仲良いバンドは呼ばないっていうのはどういうことでしょうか?イメージしてる企画のコンセプトに今回は合わないと思ったから仲の良いバンドでも呼ばない、ということでしょうか?

夏目:なんていうのかな…バンド同士の繋がりっていうことをなんで言ったかっていうと、お金とかCDが出るからイベント出させてくださいよっていう繋がりじゃなく誘うっていう意味ね。そういう意味での、バンドの繋がりを大事にしたいと思ったから、ATPがモデルになったっていう話がまず先で。
仲良い人たちを呼ばないっていうのは、ピリッとしたいからだね。「楽しいよね、仲間が集まって。同じ趣味の人たちが集まって楽しいよね」っていうイベントは、もうそっこらじゅうで行われているから。そうじゃなくて、簡単に言うと、GRAPEVINE見に来た人がシラオカを好きになるようなイベントにしたかった。新しい窓口になったらいいっていうのは大げさなんだけど、とにかくその入り口も出口も広々ととっといて、でも中身はきゅっとしまってるかんじ?がいいなって思って。ただきゅっとしまんないような感じのイベントにはしたくはなかったから、仲良いバンドを呼びすぎるのはやめた。


どれとも違うじゃんGRAPEVINEって。ずっとバンドってスタイルで歌モノっぽいものやってて、オルタナなかんじがあって。GRAPEVINEしかいないんじゃないかって。(夏目)

次にセレクトの経緯についてお伺いします。いろんなバンドに声を掛けたと言っていましたが、けっこう希望通りの面々になったのでしょうか?

夏目:もうちょっと目上のバンドを誘ってたんだけど、急だったから、けっこう速攻で動き出したんだけど、決まらなかったんだよね、さすがに。で決まらなかったってなったとき、ただGRAPEVINEはいけそうって話だったから、先輩のバンドはそれを軸にして、他はフレッシュな感じにしてもいいんじゃないかなって話になって。

シラオカは昔からシャムキャッツと親交あるイメージありますが、今回けっこう若手のバンドいるじゃないですか。それはシャムキャッツの今までのイベントにはなかった要素かなって。でもそれは結果的に若いバンドが多くなったということででょうか。

夏目:そうだね。若いバンド…たしかにね、結果的にそうなっただけかもしれない。でも、フレッシュな感じにはしたかったから、自然と今まで多くやってきたバンドは誘えないなってのは思ったし。JAPANとかに出てても、俺らにぎりぎりひっかかったけど、Homecomingsは知らないって子はたくさんいるだろうし。まああんまり、狭い範囲で考えるのはやめて、わりと視野を広く見て誘ったつもり。

私は、若手のバンドが多くて、シャムキャッツ年取ったのかなとも思ったし、こういうバンド紹介したいのかなとも思いましたが。

夏目:単純に良いと思ったバンドを呼んだだけかな。自分たちならこういうイベント行きたいなってイベントにしただけなんだけど。だいたいのフェスみたいなものは、地方でやってるものや、東京でやったり大阪でやったりする中規模なフェスみたいなものって、やっぱ4〜5バンドはアンパイなバンドが出てて、1〜2組が若手、フレッシュ、みたいな感じだと思うんだけど、やっぱりそれをひっくり返す感じが良かったから。そうなったのかな。

ちなみにこれって、全部自分たちのセレクト?

夏目:もちろん。

GRAPEVINEついてはよく声かけて決まりましたね。いきなりGRAPEVINE呼びたいなってなったんですか?

夏目:やる、年上のバンド呼ぶ、世代の違うバンドを呼ぶってなったとき、最初からGRAPEVINEがいいんじゃないかって話には自然になってて、まああっちはメジャーでがっつりやってきた人たちだけど、音楽性だけ見ると、日本でああいうバンドのスタイルでずっと続けてる人たちって実はすごく少ないから。

たしかに、彼らはスタイルが変わってないですね。

夏目:やっぱりやってみたいなって思ったし、やると価値があるんじゃないかなって感じはした。たとえばなんだろ日本のロックバンドっていっぱいいるけど、どれとも違うじゃんGRAPEVINEって。バンドってスタイルで歌モノっぽいものやってて、オルタナなかんじがあって。GRAPEVINEくらいしかいないんじゃないかって。

夏目君も昔からけっこう聴いてたんですか?

夏目:俺はほとんど初期しか聞いてないんだけど、これを機に聴き返して、やっぱりすごいなって思った。あとO-Westみたいなところで見てみたいってのもあるし。規模的にね。なかなかレアだと思うんですよ。