新宿と新大久保の喧騒の間にひっそりと、隠れ家的に存在する喫茶店・カフェアリエ。もともとこの建物は1960年、ネオ・ダダのアーティストの本拠地となった伝説的建物『新宿ホワイトハウス』として知られていたが、現在はカフェに改装。普段は移動中のサラリーマンや新大久保から流れた韓流ファンの主婦などに憩いの場として利用されている。一方、不定期にライヴやイベントができる場としても提供され、その時間になると客層が一変。個性的なアーティストやそのファンが集う。
今回スポットを当てるのは、新宿ホワイトハウスをカフェアリエとして甦らせた店主・向野実千代氏である。筆者が彼女のことを知ったのは、カフェアリエが開店するよりもっと前のことである。実は、ロコマガでも過去にフィーチャーしている昆虫キッズやヤングのほか、活動量の差こそあれ、現在活躍する多くの個性的なアーティストが向野氏の主催した「カワサキ・ティーンズ・プロジェクト」(2003〜2010)出身なのだ。「カワサキ・ティーンズ・プロジェクト」とは一体どんなイベントだったのか? その主催者である彼女がカフェを開店し、数多くのアーティストがここで演奏をしている。昨年5周年を迎えたカフェアリエの店主・向野氏とは一体何者なのか? 彼女の音楽遍歴から、「カワサキ・ティーンズ・プロジェクト」、そしてカフェアリエのことについて詳しく話を伺った。
取材・文 / 藤森未起 写真 / 本人提供