まるで台風のようだ。シャムキャッツというバンドを、大手資本の力を使わずにどうやって大きくしていくのか。彼らは自らが台風の目となり、繋がりたいバンドやイラストレーター、クリエイター、レコードショップ、更には観客までをも巻き込むことにした。彼らが巻き込むものもあれば、巻き込まれたいと名乗り出るものもいる。今回、筆者もその一人だ。当事者が当事者を生み、台風の渦はどんどん大きくなっていく。それが10月10日に行われる『EASY2』。
そんなEASYについて、昨年に引き続きシャムキャッツのメンバーにインタビューを敢行。2回目を行うことにした理由からシャムキャッツの現在の活動や展望まで。WEBと、EASYで販売するZINEの2つに分けてその模様をお届けします。あなたもeasy2に参加して、巻き込まれてはどうだろう。
取材・文 / 藤森未起 写真 / 山川哲矢
profile
4人組のロックバンド、シャムキャッツ。2009年春、1stアルバム『はしけ』をリリース。その後、自主制作でCD-R作品「DEMO SINGLE SERIES」(全3作)、シングル「渚」「サマー・ハイ」、ミニ・アルバム『GUM』を立て続けにリリース。全作品完売。2012年末、P-VINE RECORDSより2ndアルバム『たからじま』をリリース。収録曲“SUNNY”がテレビ東京系「モヤモヤさまぁ~ず2」のエンディング曲に起用される。2013年、Turntable Filmsとのスプリット12インチアナログシングルの先行即売ツアーを開催。2014年初頭、店舗限定シングル「MODELS」をリリースするも僅か一週間で完売。VJを加えた東名阪ワンマン・ツアー「GO」を経て、3月に3rdアルバム『AFTER HOURS』リリース。渋谷CLUB QUATTRO公演を含む全国ツアーを開催。また、アルバムの好評を得て「MODELS/LAY DOWN」を7インチ・アナログとしてシングルカット、『AFTER HOURS』もLP化。10月に自主企画イベント「EASY」の第一回を開催、大成功。2015年3月4日に『AFTER HOURS』の“その後”を描いた最新ミニアルバム『TAKE CARE』をリリース。恵比寿LIQUIDROOM公演を含む全国9箇所ワンマンツアーを開催。10月10日にSHIBUYA TSUTAYA O-WEST&nestにて「EASY 2」開催決定!
イベントやるの楽しいですよね? って言っても、楽しさだけじゃ、他に楽しいことも いっぱいあるしね。(夏目)
――いつくらいにまた今年もEASYやるって決まったんですか?
夏目知幸:去年終わった段階で次もやろうっていうのはなんとなく決めてた。やっぱり1回だとやり逃げ感があるから、ちゃんと愛情持ってやってるんだよっていうのを示すためには2回目が必要っていう。
菅原慎一:ちゃんと責任を持つっていう。
夏目:企画を続けたことがない。ほとんど。
大塚智之:いつもやり逃げだったから。(笑)
夏目:なにかコンセプトを立ち上げては飽き…
藤村頼正:タイトルがその場で消えるっていう。
菅原:『AFTER HOURS』以降、盤だけじゃなくて活動をコンセプチュアルにやる、みたいな流れがあったかな 。
大塚:流れを作る、みたいなことを意識して。だから関西での2マンシリーズ『ALSO』は流れ作りやすいけど、『EASY』は1年ずつだから、今年も本当にやるのかーって感じなんだけど。
夏目:1回目の雰囲気がすごいよかったんですよ。思い描いてたものよりもすごくいい光景だった。あれがなくなっちゃうと東京にああいうイベントがなくなっちゃうってことだから、唯一のものになったなって感じがした。ああいう場はあったほうがいいだろうって。
――今年は下北沢インディーファンクラブも復活しましたが、またそれとも違う?
夏目:そう、けっこう違う。下北沢インディーファンクラブはショウケースだからだいたい30分でしょ。『EASY』は1バンドじっくり見れる。
――去年、夏目くんに『EASY』についてのインタビューをしておきながら、肺炎になっちゃってEASYに行けなかったんですよね。去年そんな中で私がすごく印象的だったのは、誰かのinstagramかな? 柴崎さんと王舟。
菅原:P-VINEの柴崎さんと、Second Royalの社長の小山内さんが、その日誕生日1日違いで。2人がめちゃくちゃにされるっていう。
夏目:ケーキまみれ。王舟は、来るつもりじゃなかったけど、twitterとinstagramでみんなが楽しそうだなって見てて寂しくなって来たみたい。
大塚:それであの陽気さ。(笑)
夏目:だからこその陽気さですよ。
――ZINEショップがあったり、ゆかりのあるショップの人に頼んでBGMをお願いしたり、そのBGMリストを配ったり…イベント自体がキュレーションのような役割を果たしているようにも思えます。
夏目:なるべく面白くしようとするとそうなるっていうか。そうなるかんじ。キュレーターっていうのもそうだし、なるべくひだを多くしてるのは、まあ楽しいだ けのイベントだと負けるよね。こういうオルタナのバンドが集まってると。イベントやるの楽しいですよね? って言っても、楽しさだけじゃ、他に楽しいことも いっぱいあるしね。もっともっと違う価値をつけられないかなって。
藤村:紙が好きなんだね、夏目と菅原は特に。紙と文字。
大塚:俺はそうでもない。
夏目:バンビは本当にそうでもない。
大塚:音以外は…
菅原:「音以外は好きではない」(笑)
夏目:べース・マガジンで言ってほしい。
藤村:違うレイヤーでの豊かさみたいな。ライヴだけだとライヴハウスその場で終わっちゃうけど、ZINEとかBGMのリストは持ち帰ることもできる。いろんな豊かさを生む要因になるし、そういうのちょっと素敵だなって思う。
菅原:映画ですね。映画化したい。映画っていうのは、比喩ね。
一同:フッ…
夏目:わっかんねー!
菅原:3次元、4次元。2次元じゃない。
夏目:どんどんわかんねーよ。(笑)
菅原:多元的にしたいってことだよ。
夏目:将来的には、展望としては、最終的にEASYが一人歩きして、別に俺らが動かさなくてもいいくらいになったらいいなって思いますけどね。いろんなバンドが出て、ZINEとかもあって、なんならシャムキャッツっていう看板がいなくても回ってくれるいいなって実は思ってる。
――たしかに、他にライヴも見れて、ZINEとかが読めるイベントってあんまりないですからね。
菅原:最近、みんなバンドとイラストレーターの関わり強いじゃん。俺らのまわりにも良い画を描く人がいっぱいいて、その人たちの本業を紹介したいっていう気持ちもある。来てる人も楽しいじゃん。あのバンドのグッズ手がけている人のZINEだ、みたいな。
――できることが大きくなって、関わる人が増えてきて、そういう繋がりや関係を活かしてさらに大きくなっていくっていうスタイルなんですかね。
夏目:そうだね。あとは根本的には性格が悪いっていうことになるのかなって思ってるんだけど。人を基本的に信用してない。(笑) だからそれこそ信用している人たちとやるっていう。あと、自力でいかないと胡散臭くなっちゃうから、そういうのは嫌だな。
大塚:なるべく結果がでて、こういう風なんだってわかんないと次に進めない人たちなんで。
――良くも悪くも。
夏目:そう。良くも悪くもね。
Tokyo Loco magazineの ZINEが完成しました!
昨年webマガジンとして立ち上げた『Tokyo Loco magazine』もこれを機に、(便乗して)ZINEを作ってみました。別冊ゼロ号として、EASY主催のシャムキャッツを特集。EASY ZINE SHOPにて限定50部販売します。
中綴じ右開きタイプ。A5サイズ全28ページの盛りだくさんの内容でお送りします。
1. インタビュー
巻頭はこのWEB版の続きとなるシャムキャッツインタビュー。「EASY2」開催によせて、シャムキャッツの「今」…ここ1年程のトピックを中心に話を伺いました。前半ではメンバーのソロ活動について、後半では、メンバーを取り囲むスタッフ・関係者について言及。シャムキャッツというバンドの結束力の強さがわかるインタビューになりました。
2. フライヤーで振り返るシャムキャッツ
2007年から約9年間に発行されたシャムキャッツによるフライヤーを年代別にまとめ、シャムキャッツの軌跡を辿ります。ライヴのスケジュールだけ書かれたただのコピー用紙から、本人たちこだわりの? フライヤーまで約35点を掲載。当日も何点か現物をお持ちします。
素人のデザインだとわかる綻びが随所に生じているため、他の個性豊かなZINE出展者の作品と比べるとかなり見劣る点もあるかもしれませんが、シャムキャッツファンには堪らない内容となっております。1冊300円。是非ともお求めください!
INFORMATION
『EASY2』
2015年10月10日(土)
SHIBUYA TSUTAYA O-West/O-nest
開場:12:00 / 開演:13:00
¥4,800(税込/D別)