音楽のその先にある表現力を映し出す−多くのアーティストのアートディレクション・デザイン・映像作品に携わる関山雄太インタビュー

 今でこそ音楽をジャケ買いすることは少なくなったかもしれないが、私たちは無数に溢れる情報の中から無意識に嗅覚を効かせ、アーティスト・レーベルのロゴやデザイン、写真・ウェブサイト・ミュージックビデオのクリエイティブや雰囲気といった情報から好きな音楽を見つけることも少なくないだろう。今回はそんな音楽に触れる”入り口”に付加価値を創造する仕事にフィーチャーしたい。今回取材させていただいた関山雄太は、元riddim saunterのKeishi TanakaやKONCOSに始まり、最近ではミツメ、吉田ヨウヘイgroup、Ykiki Beatなど大変多くのアーティストのアートディレクション・デザイン・映像作品に携わる。また、東京都内のあらゆる場所を背景に、メジャー・インディー問わずさまざまなアーティストがアコースティックライブを繰り広げる『TOKYO ACOUSTIC SESSION』、動画・写真といったクリエイティブがアーティストの言葉と一緒に展開されるインタビューサイト『CARELESS CRITIC』といったプロジェクトの主催も務め、その活動は多岐に渡る。そんな彼のほぼ半生を一からお伺いし、ディレクションに携わるまでの彼のルーツやアーティストとの関係を紐解いていきたい。

取材・文:藤森未起
写真:山川哲矢

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台湾から渋谷WWWへ。古川麦『far/close』ツアー

 表現(Hyogen)やceroサポートなどで活躍する古川麦の、台湾ツアーが行われたのは去年の12月半ばのこと。先に台湾に入り、すでにいくつかライブも終えている演奏陣の後を追う様に、アルバム『far/close』でジャケットデザインをつとめたデザイナーの川村格夫くんや、同じくジャケ写を撮った竜ちゃんこと鈴木竜一朗、「Green Turquoise」MVを撮影した浅ちゃん、カメラマンの廣田達也くんを始めとする撮影班も台湾へと向かった。台北駅につくと、浅ちゃんはおもむろにコンビニに向かい、慣れた手つきで八角の匂いのするゆで卵を鍋からすくって買い、とても自然にそれを食べた。台北から高速鉄道に乗って台中の会場に着いた時には、すでにその日のライブが始まっていて、その日はたまたま、麦くんたちの前に日本から来たバンドが演奏していたのだけど、川村くんはそれを知らずに「こうやって現地の音楽を聞けるのが良いよね!」と笑顔で言ったし、その場にいたメンバーの中の2人が38度以上の熱を出していた。そもそも竜ちゃんは寝坊して飛行機に乗り遅れ、まだ台湾に着いてもいなかった。今思い出しても雑然としたひとまとまりだったけれど、その全員が麦くんの為にはるばる台湾まで来たのだと考えると何だかおかしい。クリスマスの時期ということもあって、麦くんはその日のライブで「きよしこの夜」を英語、日本語、中国語で歌い、中国語で歌うときには観客にも歌わせた。そういえば、表現(Hyogen)がプラハで行ったライブでもチェコ民謡を観客と一緒に歌っていたし、相手と同じ言葉で向かい合うというのが、古川麦の基本的な姿勢なのかも知れないなんてもっともらしく思ったりした。最近はスヌーピーに似ていると言われるらしい。台湾ツアーを振り返りつつ、1stフルアルバム『far/close』のことや自身のこと、3月17日に行われるWWWでのライブへの意気込みまで聞いてみたい。

取材・文 / 岸田祐佳
写真 / 廣田達也、鈴木竜一朗

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みんなの馬場ちゃん!インディーズシーンを支えるエンジニア・馬場友美インタビュー

 2014年12月末をもって閉店した南池袋ミュージック・オルグ。ここは、ライブハウスだけではなく、オルグのPAであり録音エンジニアの馬場友美(通称、馬場ちゃん)によって録音作業場としても利用され、オルグで録音し世に放たれた音源も数多く存在する。また、毎年5月10日には、自身の誕生日を祝うイベント『馬場聖誕祭』、昨年12月にはミツメ・森は生きている・吉田ヨウヘイgroupによる3マンライブ『馬場ありがとうナイト』や、シャムキャッツやGELLERS、柴田聡子など、計14組が出演する『オルグスター感謝祭』を開催している。そんな皆に愛される馬場ちゃんとは一体何者なのか? 今回、馬場ちゃん協力のもと、今まで馬場ちゃんが(オルグ問わず)携わった全音源の作品リストを作成。そのリストで過去の活動を振り返ってもらい、録音エンジニアとして、アーティストのPAとして、オルグのPAとしての活動についてインタビューを敢行。ひとつひとつのコミュニティが少しずつ繋がって盛り上がるインディーズ・シーンで、常に必要とされている馬場ちゃんという”居場所”について追っていきたい。

取材・文:藤森未起
写真:トヤマタクロウ

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日常のその先にひろがるDIYフェス– 静岡・フジサンロクフェス・イズヤングフェスの現場から

 私たちは音楽をもっと「日常」で楽しむことはできないのだろうか。大型フェスでは何千・何万の人とひとつの音楽を共有することができるのに、日常に戻ったとき、私たちは身近な人たち…例えば家族、同級生、仕事の同僚…そんな仲間と一体となって音楽を楽しむ機会がどれだけあるだろうか。現代においてひとつの音楽を楽しむという行為は、あまりに分断されすぎている。しかし、そんな疑問を吹き飛ばすがごとく、日常の延長線上にあって幸福感あふれるフェスが、静岡東部に2つも存在する。それが『フジサンロクフェス』と『イズヤングフェス』である。今回はその両フェスの打ち上げ的イベント『little expo』が<live & photo exhibition>として、阿佐ヶ谷Rojiで行われる、ということで急遽取材させていただき、主催である写真家の鈴木竜一朗さん、伊豆を拠点に活動するバンド・ヤングのVo.高梨哲宏さんにお話を伺った。

取材・文 / 藤森未起

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見ためは少年ジャンプ!中身はXXX?:月刊ウォンブ!インタビュー

東京は他の都市と比べても圧倒的にライブハウスが存在する。毎日・毎週ライブイベントでライブハウスはてんやわんやである。しかし多くの人は、学業なり仕事なりの日常を経て、出演者の面子、チケット代、場所…などさまざまな条件を天秤にかけて、ようやく予約やチケット購入に至る。近年の音楽フェスなどは日に日に全国各地でさまざまなバリエーションを見せ活況を呈しているが、平日にライブハウスに行くというのは、関係者でない限り気軽に参加できるにはほどほど遠いのが現状だ。そんな障壁をぬぐい去るがごとく、ライブへ行くことがもっと気軽でカジュアルなものだと感じさせ、さらにインディーズシーン必聴の音楽が楽しめるイベントが、2013年毎月最終火曜日に渋谷で開催されていた。それが『月刊ウォンブ!』である。ライブといっても、そもそも場所がライブハウスではなくクラブ、ステージにはなぜかプロレスリング。レスラーさながらリングに立つアーティストと、それに応戦するような観客たち(これが意外と絵になる)、回を重ねるごとに増えていく出店者たち。そんなアーティストもリスナーも一体となって楽しんでいたイベントが本とDVDになったということで、主催の仲原達彦にウォンブのイベントから書籍化に至るまでの話を聞いてきた。

取材・文 / 藤森未起 写真 / 寺沢美遊

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本当にインディペンデントなフェスティバル『EASY』:シャムキャッツインタビュー

サイト開設の第一弾は、来月10月11日に自主企画『EASY』を主催するシャムキャッツのVo.夏目知幸のインタビューである。シャムキャッツを初めて見たのは約7年前。以来ずっとその活動をファンとして友人として見続けているからこそ、最初に取り上げたいアーティストだった。しかしそんな理由以上に、シャムキャッツのこの一夏の経験については、去年にも一昨年にもなかったシャムキャッツと彼らが活躍するインディーズシーンの新しい追い風を感じることができる話を聞く事ができたし、来月開催される自主企画『EASY』については、彼らがアーティストであると同時に良きリスナーであるという気質さが至る所に炸裂しているイベントであることがわかり、第一弾に取り上げさせてもらうことができて本当に良かったと思える記事になった。どうか、それこそEASYな気分で、このインタビューをご覧いただきたい。

取材・文 / 藤森未起 写真 / 山口広太郎

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